Startup Weekendとは、会場で出会った初対面の人とチームを組み、たったの3日間でビジネスアイデアをカタチにするという、とんでもなく熱いイベントです。
世界中で開催されている Startup Weekend(略して、SW)が、北海道釧路市にて開催されたのは約1年ぶり。気温は涼しくとも、会場の熱気は最高潮。熱い想いが結晶となった3日間の様子を、ぎゅっと詰め込んで本レポートでご報告いたします。
■ 概要
【日 時】2025-6-7(金)18:00 ~ 6-9(日)19:00
【会 場】港まちベース 946BANYA
【参加者】 約25名
【Day1】2025.6.7(Fri)
釧路フィッシャーマンズワーフMOOの2階に位置する「946BANYA」で開催させていただくのは、なんと、3年連続!
毎年ご厚意で会場を貸し出してくださる 合同会社 Hokkaido Design Code さん、本当にありがとうございます。感謝の気持ちを込め、こちらの会場の数ある魅力の中から3つを、この場を借りてご紹介させてください。
- かつて飲食店だったスペースを再生した、あたたかみと懐かしさのある雰囲気。
- いつでも窓の向こう側には、すぐ近くに感じられる海と空、港まち釧路の息吹。
- まちづくりの拠点として、地元住民の「やりたい」 を実現するための共創の場。
会場入りすると、いつも自然と「何か始められる気がする」という感情が湧いてきます。
初めての夜は、交流会から。
そんな素敵な会場で今年も、初日・受付開始の18:00を迎えました。これから始まる3日間に、胸を高鳴らせたり、変な汗をかいたりしながら、参加者たちが、じわじわと会場に集結。学生から社会人まで、年齢も職業もバラバラな人々が、一堂に会しました。関東から参加してくださった人や、帯広から来てくれた高校生たちの姿も!(君たち、週明けから学校じゃないのか……?と、心の中でそっと問いかけたのは、ここだけの話です。)
そんな参加者たちのテーブル中央に鎮座するのは、全世界のStartupWeekendにおいて、標準装備と言われる夕食。
—— そう、PIZZAです!!
今年も例に漏れず、ピザを頬張る参加者たち。ピザを食べながらの交流。これ以上ない合理性。誰が何を話しても、ピザが場をつないでくれる。いっそのこと、ピザがチームメンバーでもよかったのではなかろうか。運営準備をしつつもピザを頬張り、そんな事を考えていたのも束の間。SW釧路の幕が上がりました。
オープニング
19:00から始まったのは、ファシリテーター(白井さん)によるオープニングトーク。遠路はるばる神奈川県から今日のために来釧。移動続きにも関わらず、お疲れの様子を全く感じさせない満点笑顔。ほっこりと場を温める、その語り口も相まって「あ、この人についていけば大丈夫そうだ!」という、実家のような安心感に包まれました。
[ファシリテーター] 白井 圭 [オーガナイザー] 佐藤 直樹、佐々木 優佳、猿子 香澄、小野寺 理江、西山 雄貴、田森 湧斗 [サポーター] 佐藤 佳祐
「Half Baked」とは?
さて、無事に開幕のご挨拶が終わったあとは、さっそく最初のグループワークを開始。Startup Weekend アイスブレイクの定番、「Half Baked」を実施しました。内容としては、ランダムに出された2つのキーワードを組み合わせて、無理やりにでもビジネスを仕立て上げるという、言うなれば「スタートアップ大喜利」のようなものです。
まずは、ファシリテーターが会場の参加者をランダムに指名。
指名された人は、ぱっと頭に浮かんだワード(名詞)をひとつ、発表します。
飛び交う単語の数々——「ドーパミン」「AI」「焼き肉」「交流会」など、ビジネスの方向性が読めないワードが、瞬く間にポストイットを埋め尽くしていきます。こららの中からキーワードを獲得する方法は、シンプルに早い者勝ち。
静まり返る会場……からの、突如始まるリーダーたちのポストイット争奪バトル!!颯爽と会場を駆け抜ける脚力、欲しいキーワードを一瞬で見分ける視力、そして、ほんの少しの運と度胸。人生のチャンスを自力で切り拓くための力を、いまここで試されていると言っても過言ではありません。
最終的には、想像の斜め上を行くビジネス案が次々に発表され、参加者たちの間には和気あいあいとした空気と、確かな一体感が生まれました。
運営メンバーは後方から温かい目で、そっと見守ります。
さあ、いよいよ、ここからが本番です。自分の考えたアイデアを発表し、仲間を募る
——お待ちかねの「1分間アイデアピッチ」の時間がやってきました。
制限時間は60秒。緊張と期待が入り混じるなか、参加者たちはひとりずつステージへ。マイクを握りしめて「こんな世界をつくりたい」「誰か、一緒に実現しませんか?」と語りかけます。
今回は、参加者全員がピッチに挑戦しましたが、お互いのアイデアを受け止め合う、和やかな雰囲気でした。
そして、個性豊かな5つのチームが誕生。バックグラウンドも視点も異なるメンバーが、一体どんな化学反応を48時間で起こすのか。運営メンバー全員、ワクワクが止まりません。
【Day2】2025.6.8(Sat)
No Talk, All Action!
2日目の朝がやってきました。ここからは、具体的なビジネスアイデアを「形にする」フェーズ。
「No Talk, All Action」のスローガンのもと、いくつかのチームは早くも、実際に顧客となる人の話を聞くべく会場を飛び出していました。中には、朝イチで100円ショップに直行し、MVP(最低限の実用的なプロトタイプ)を爆速で構築するチームも登場。圧倒的な行動力に、運営メンバーたちも驚きを隠せません。
そんな中で、満を持して迎えた昼食。どれもこれも、びっくりするほど、ボリューミーで美味しすぎる。釧路名物「スパカツ」まで登場し、胃袋的に全く隙のない展開。
多くのチームが「よし、順調に顧客の声を集められているな」と手応えを感じ、ほかほかのランチを、にこにこスマイルで頬張っていました。
━━ただし、それはコーチング前の世界線の話。
コーチングタイム
2日目のメインイベントが始まりました。豊富な起業経験を持つ、頼もしすぎるコーチ陣が続々と登場し、各チームの課題設定やビジネスアイデアに対して、慈悲深く、しかし容赦なく、フィードバックを投げかけます。
コーチの皆様(敬称略 ※写真左側から順に)
久保 竜太郎 株式会社しるべ 代表取締役
白旗 慎太郎 株式会社 駒形家 代表取締役/有限会社 はたご家 代表取締役
三浦 明美 studio kupukupu+代表
佐藤 佳祐 スターフェスティバル株式会社 シニアマネージャー / 株式会社釧路オールアクション取締役 / 株式会社k-Hack CTO
コーチングでは、「顧客の声、ほんとに聞けてる?」「そもそも、課題って何ですか?」「誰が、なぜ、いつ買うの?」など、アイデアを現実に着地させるための質問が、コーチそれぞれの視点から降り注がれます。
↑ 久保さん(自らの経験や現在の活動に根差した、その言葉のひとつひとつに強い火力がありました。熱い情熱の炎が目の奥に見え、会場の酸素が少し減ったように感じるレベルです。)
↑ 白幡さん(多角的アドバイスの名手。現実をしっかり見据えつつ、参加者の「やりたい」という想いを大切にしながら、さまざまな視点から丁寧かつ、的確なアドバイスを授けてくださいました。)
↑ 三浦さん(優しく相槌を打ってくださるので安心して話していると、ふいに鋭いコメント。気づけば、急所に一撃を貰っていたチームが多数。率直かつ温かみのある、絶妙なバランスに凄みを感じます。)
↑ 佐藤さん(スポンサー、コーチ、カメラマン。まさかの三刀流。課題の整理という原点に、ズバッと切り込んでくれました。初年度から継続でご協力くださっており、足を向けて寝れそうにありません。)
ちなみに、StartupWeekendのコーチ陣は、全員がボランティア。
大変お忙しい中で時間を割き、心から向き合ってくださる皆様には、もう本当に感謝しかありません。そんな熱い人たちが居るならば、きっと未来は明るいはずです。
コーチの皆様、この度は本当にありがとうございました!!📸
夕食タイム
コーチングを受けた後は、それぞれのチームが議論 or アクションを再開。運営チームが「ごはんですよ〜!」と呼びかけても、誰ひとり顔を上げず、すさまじい集中力を発揮するチームも、ちらほら。
何はともあれ、美味しいごはんを食べ、しっかりとパワーチャージ。
頭を使いすぎて煮詰まり、なぜか運営のひとりと一緒にボルダリングに旅立った参加者もいました。
たぶん、登るという行為が必要だったんです。いろんな意味で。
釧路の夜は、まだ終わらない。
日が暮れてくると、それぞれの判断で、さらに自由に行動をし始める参加者たち。
「明日に備えて早めに帰ります!」という健全な人もいれば、「帰宅」の概念を一時的に捨てる、覚悟の猛者たちも。
通常であれば、メイン会場の閉館後は、解散or各自で夜の活動拠点を見つけねばなりません。しかし、なんと今回は株式会社釧路オールアクションさんのご厚意で「ペンギンファーム」をお借りすることができました。
釧路に誕生したばかりの、“アクションをするための施設”。
Startup Weekend のプレイベントの会場でもあった、この場所の灯りが消える気配はありません。
「ルールがないことが、ルール」
Startup Weekend 唯一の哲学を忠実に体現する行動力に、そっと運営陣も舌を巻きました。
日の出まで、All Action!!
夜が深まり、人も減ってきたはずのペンギンファーム。しかし、そこには未だ、相談を重ね、試作を進め、悩みながらも前へ進もうと、懸命にもがく参加者の姿。気づけば夜が明け、翌朝の4時……!!
この混沌と情熱が渦巻く夜に、オーガナイザーの西山さんが、まさかの参加者チームにジョイン!
一体ここから、どんな予想外の展開が生れるのでしょうか ——明日、すべてが明らかになります。
【Day3】2024.6.16(Sun)
3日目。いよいよ、Startup Weekend のラストステージ。各チームが腹をくくり、最後の追い込みに入ります。
今回は、チームの再編成や離脱といった大きな動きこそありませんでした。つまり、誰一人として途中で立ち止まらなかったということ。生まれたチームがそのまま進み続け、時間とともに自然に生まれていた「チームの結束力」が、確かに感じられました。
制限時間ギリギリまで、外に出てヒアリングを続けるチーム。データをまとめ、アンケートを追加し、プロトタイプを調整し、資料を詰めていくチーム。
時間に追われながらも、最後まで「どうやって目標に近づくか」を考え抜く姿に、参加者の熱量が垣間見えました。
誰もが自分の強みを生かし、自らの役割を全うしていました。
「手が空いたから何かやる」ではなく、「自分だからこそできることをやる」という空気が、そこには在りました。
みんな大好き「SUBWAY」のサンドイッチ!資料作りを進めながら片手で食べられる、最高のランチです。
【最終発表】
いよいよ訪れた、最終発表&ジャッジタイム。ここまでの努力、試行錯誤、100円ショップ通い、ボルダリング(?)を経て、5チームがステージに立ちました。
ジャッジの皆様(敬称略 ※写真左側から順に)
八幡 好洋 株式会社プライムネス 代表取締役
杉村 壮平 拓殖不動産 代表取締役
木村 琴絵 合同会社 Hokkaido Design Code 代表社員
緊張した面持ちの中でマイクを握りつつも、堂々としたプレゼンを見せる参加者たち。
「情熱」「仮説」「スライドのフォントサイズ」に至るまで、発表内容の随所に魂が込められていて、誰かが言葉を発するたび、場の空気がちょっとずつ熱くなっていく、そんな時間が流れていました。

質疑応答が始まると、ジャッジ陣からは的確で鋭い質問が次々と飛んできます。けれども、どのチームも逃げず・苦い顔もせず、ちゃんと自分の言葉で返していたところが、本当に凄かった。

プレゼンの後の質疑応答こそが真のクライマックス、チームのボルテージが最大になる瞬間だったかもしれません。
【審査結果】
そして栄えある受賞者は——
🥇 優勝:チーム名「ココロまぐねっと」
「気持ちを上手く言葉にできない」「そもそも自分の気持ちがわからない」そんな日常のモヤモヤに対して、「 LEDの光と音で感情を伝える”という、未来的だけど人間味のあるプロダクト 」を提案したチームが優勝!!
録音機能付き、商品の利用シーンを再現した寸劇ではチームワークが光り、審査員の心をバッチリ掴んでいました💡
🥈 第2位:チーム名「Dream Connection」
テーマはズバリ、「皿洗いをこの世から消す」。斬新すぎる角度から、「ラップをお皿にかぶせて、洗わずに再利用するプロダクト」を開発!しかも、プレゼン最中にプロダクトを実際に試してもらうスタイル。アイデアのキャッチーさと、ビジネスモデルの構築力が評価され、会場の笑いを掻っ攫い、明確な顧客体験を味わせてくれました🍝
🥉 第3位:チーム名「PINK!」
「新しい防災」をテーマに、個人の好みや家族構成などにあわせて「防災グッズをサブスク形式で届ける、循環型備蓄サービス」を提案。つい前日、釧路で地震の揺れが発生していたことから、会場内の多くの観客が地震への備えの大切さと、本サービスの需要の高さを感じているように見受けられました🎒
惜しくも入賞を逃したチームに対しても、ジャッジ陣からのコメントは全体的に温かく、ポジティブな声ばかり。
「是非、本当にやってほしい」「もう少し詰めたら、化ける」など、大変前向きなフィードバックをいただきました。
しかしながら、ここでの順位は、あくまでSWの指標による、結果のひとつにすぎません。3日間を全力で駆け抜けたことこそが、最高の成果。
「3日間やり切った自分たちを、まず称えよう!」 そんな空気と拍手が会場を包み込み、心地よい熱気のなかで本イベントは幕を閉じました。
【懇親会】
結果発表の後は、アフターパーティーを開催!3日間を共に過ごした参加者・コーチ・ジャッジ・運営メンバー。そして観覧に来て下さった皆様と一緒に、美味しいお料理やドリンクをいただきました。(大人の方は、道東のお酒も)
参加者の皆様の「初めてだったけど本当に楽しかった!」「このアイデア、もっと本気で形にしたい!」「今度は運営側をやってみたい!」「うちの地元でも、開催したい!」そんな声が、あちこちから聞こえて嬉しい限りでした。
3日間を駆け抜けた皆さん、大変お疲れさまでした!!
おわりに
今回の開催にあたり、得意分野が異なる6人のオーガナイザー&心強すぎるサポーターの佐藤さんを中心に、開催準備を進めて参りました。オーガナイザーチームだけでは開催には漕ぎつけられなかった、感慨深い週末3日間でした。改めて、ご協力いただいたすべての皆さまに、心より御礼を申し上げます。
なお、運営メンバーの集合写真を撮りそびれてしまったため、写真フォルダに散らばっていたオーガナイザーたちの自然体の姿をかき集め、以下に掲載させていただきます。
第4回Startup Weekend 釧路は、学生たちのフレッシュな発想と社会人の経験とツッコミが交差する、あっという間の3日間でした。いつも、会場内には真剣な議論と、笑い声と、そして少しのカフェインの香りが漂っていました。
「起業家精神を持った人々の育成」「コミュニティの形成」というSWの目的を、この釧路の地で今回、小さいながらも、しっかりと形にできたのではないかと、おかげさまで今回、ちょっとばかし胸を張れております。
釧路の地から、イノベーションを。
そして次回は、もっと多くの “ はじめての挑戦 ” に出会えますように。
ここまで継続して開催できたのも、ひとえに皆様のご協力があってこそでした。釧路でスタートアップを学び続けるための場づくりを、今後も継続して参ります!
最後に、多大なるお力添えを賜ったスポンサーの皆様方をご紹介し、開催レポートを締めさせていただきます。
[第4回SW釧路・スポンサー] 株式会社プライムネス様、合同会社勝手場 様、村井建設様、株式会社五明様、株式会社釧路スズキ販売様
[会場スポンサー] 合同会社 Hokkaido Design Code様、株式会社釧路オールアクション様
[日本全国・通年スポンサー] 弥生株式会社様、G’s ACADEMY様
[ご後援] 釧路市 釧路新聞社
詳しい開催情報はこちら https://swkushiro20250606.peatix.com
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