誰もが待ちわびた2年半の時を経て、Startup Weekend 名古屋が帰ってきた。新時代の聖地・STATION Aiに集結した挑戦者が、最高潮の熱気で駆け抜けた54時間の記録をお届けします。
開催概要
日時:2026年2月13日(金) ~ 14日(日)
会場:STATION Ai
人数:総勢50人
ファシリテーター:中本 卓利
リードオーガナイザー:松山 ふくみ
オーガナイザー:馬場 浩輔・今井 剛志・中森 立樹・林 恵海・猪飼 絵來
リードスポンサー:萩原エレクトロニクス株式会社 様
会場スポンサー:STATION Ai株式会社 様
スポンサー:STATION Ai株式会社 様・株式会社アルファドライブ 様・TechArtIdea 様・大和グラビヤ株式会社 様
日本全国・通年スポンサー:G’s 様・株式会社eiicon 様
Day1 ー STATION Aiに訪れた熱い夜
日本最大級のスタートアップ拠点、STATION Aiに集結
今回の「Startup Weekend 名古屋 2026」は、2024年に開業した日本最大級のオープンイノベーション拠点、STATION Aiを会場として開催されました。洗練されたオフィスデザインと、挑戦者が集う独特の空気感。名古屋のスタートアップの「聖地」とも言えるこの場所で、新たな物語が始まります。

特筆すべきは、フレッシュな感性を持った高校生・大学生が多数参加していること。さらに、STATION Aiを拠点に活動するスタートアップ企業からの参加者も加わり、アカデミックな熱気とビジネスの最前線が融合する、かつてない密度の一夜となりました。
懇親会
Startup Weekendの始まりを告げるのは、世界共通で恒例となっているピザパーティー。名古屋市内のプレイヤーはもちろん、全国各地からこの日のために集まってきたチャレンジャーたちは、最初は緊張した面持ちでした。しかし、ピザを片手に語り合ううちにライバル心は消え、会場には笑顔が広がります。

オープニング
会場の熱気が最高潮に達する中、リードオーガナイザーの松山 ふくみさんによる力強い開幕宣言が響きわたり、会場内は割れんばかりの盛大な拍手に包まれました。この記念すべき3日間の進行を担うのは、NPO法人Startup Weekend認定ファシリテーターの中本 卓利さんです。
中本さんは、Startup Weekendが世界中でどのように生まれ、これまでに何万人もの起業家精神(アントレプレナーシップ)を育んできたのか、その濃密な歴史を紐解きながら、参加者を一気にSW特有の情熱的な世界観へと引き込んでいきました。
また、本イベントをリードスポンサーとして力強く支えてくださっている萩原エレクトロニクス株式会社様からもご挨拶をいただき、名古屋の未来を創る挑戦者たちへ向けて温かな激励の言葉を頂戴しました。こうして会場全体が「No Talk, All Action」の決意を共有し、いよいよメインプログラムであるビジネスアイデアの創出へと移っていきます。
HALF BAKED
アイスブレイクとして行われた「Half Baked」では、「ラーメン」「学生」「サウナ」「音楽」といった、一見どこにでもありそうなキーワードが並びました。しかし、多様なバックグラウンドを持つ参加者が集まっているからこそ、その組み合わせから生まれるアイデアは無限大です。
実際にチームからは、「プリクラ」と「音楽」を組み合わせて新しいカラオケ体験を提案するチームや、「ごみ」と「観葉植物」を掛け合わせ、植物にゴミを食べさせる(分解させる)というユニークなビジネスアイデアが飛び出しました。

各チームのピッチが終わった後は、他チームのプレゼン手法やアイデアの切り口を互いに振り返ります。ここで得た気づきや刺激を、いよいよこの後に控える本番の「1分ピッチ」へと活かしていきます。
1分ピッチ
休憩時間に配られたのは、わずか20枚のA4用紙。ピッチを希望するチャレンジャーたちは、この1枚の紙に自らの想いやアイデアを熱く書き留めていきます。全国から集まった参加者たちが、これまで心の奥底で燻らせていた想いをカタチにすべく、次々とピッチします。
「大好きなラーメン屋を救いたい!」「糖尿病患者を救いたい!」「ゴミを捨てるのがめんどくさい!」
日々の切実な悩みから、いつか叶えたいと願っていた壮大な夢まで。共にスタートアップを始める仲間を集めるため、限られた1分という時間の中で自らのビジョンを全力で語り尽くしました。
チームビルド
熱烈なピッチと、全参加者によるシビアな投票を経て、生き残ったのは10のアイデアでした。最後に追加の30秒ピッチが行われ、リーダーたちはさらなる情熱で仲間を募ります。
Startup Weekendでは、3名以上のメンバーを集めることがチーム結成の条件となります。参加者たちは、どのアイデアが最も世の中を変える可能性があるか、そして誰と共に3日間を駆け抜けたいかを真剣に見定め、運命の1票を投じます。
交渉と決断の末、最終的に以下の7チームが結成されました。
こうして、STATION Aiを拠点とする54時間の「挑戦」がいよいよ本格的に始動しました。
Day2 ― 現場検証と「絶望」を乗り越えるコーチング
2日目の会場オープンは9:30。しかし、STATION Aiの1階では、すでに8:30ごろから仮説検証や打ち合わせなどの「Action」を開始しているチームの姿が見られました。

会場の扉が開くやいなや、真っ白なホワイトボードに本日の行動計画を書き出し、一分一秒を惜しんで作業に没頭する光景が広がります。

プログラムの冒頭では、会場スポンサーであるSTATION Ai株式会社様より、日本最大級のスタートアップ拠点としての施設紹介が行われました。あわせて、当日別フロアで開催されていた他のスタートアップイベントについてもご紹介をいただいています。

このイベント会場は、ターゲットとなる顧客を探すプレイヤーたちにとって、絶好のヒアリング会場になっていた……という噂もあったほど、STATION Ai全体が挑戦者の熱気に包まれていました。
ファシリテーション
10時からは、ファシリテーターの中本さんによる本日のガイダンスがスタートしました。スタートアップの成否を分ける「仮説検証」の本質、つまり自分たちのアイデアが「誰の、どんな課題を、どう解決するのか」を、机上の空論ではなく現場の事実で確かめるプロセスについて深く説かれました。

あわせて、1日目に渡された名札に記された「Hacker(ハッカー)」「Hustler(ハスラー)」「Designer(デザイナー)」という3つの役割の意味についても改めて解説が行われました。それぞれの専門性を活かし、チームとしてどう機能すべきかという指針が示されました。

スタートアップを3日間でリアルに体験するため、必要不可欠なマインドセットを脳に刻んだ参加者たち。彼らは「No Talk, All Action」の合言葉とともに、確証を求めて次々と会場の外へと飛び出していきました。
昼食
お昼の時間には、会場であるSTATION Ai内にある店舗にご協力いただいた、この日のための特注お弁当が提供されました。

朝から現場検証や議論を重ね、頭も体もフル回転させてきた参加者たち。美味しいお弁当を囲んで一時リラックスしながらも、話題は絶えずアイデアのブラッシュアップに向けられています。しっかりとエネルギーをチャージし、2日目の最大の難所である午後の「コーチング」に向けて、チームの結束と気合を入れ直す貴重なひとときとなりました。
コーチング
2日目のメインセッションは、プレイヤーが心待ちにしていた「コーチング」です。今回はSTATION Aiという場所の強みを活かし、実際にこの施設に入居されていたり、STATION Aiの関連プログラムに参加して最前線で活躍されていたりする起業家の方々にお越しいただきました。
現場を知り尽くしたコーチ陣からは、「その課題は本当にお金を払ってまで解決したいものか?」「顧客の本当の痛みはどこにあるのか?」といった鋭くも本質的な指摘が次々と飛び出します。
午前中まで積み上げてきた仮説が揺らぎ、真っ白になったホワイトボードを前に立ち止まるチームもありましたが、それこそが真のニーズに辿り着くための重要なプロセスです。コーチ陣のリアルな視点に触れたプレイヤーたちは、自分たちのアイデアをより強固なものにするため、再び熱意を持って現場へと走り出していきました。

5名のコーチの皆さま、ご協力いただきありがとうございました。

仮説検証
コーチングで得た本質的な問いを胸に、プレイヤーたちは「真に困っている顧客」を探して再び会場の外へと飛び出していきました。自分たちが立てた仮説は本当に正しいのか、顧客の痛みはどこにあるのか。冷たい風が吹く名古屋の街を、答えを求めて必死に走り回ります。中には、会場に残るメンバーとヒアリング先の現場をオンラインで繋ぎ、ハイブリッドな体制で効率的に検証を進めるチームも見られました。

そんな緊迫した空気の中、オーガナイザーチームからささやかな差し入れが届けられました。実はこの日は2月14日、「バレンタインデー」当日です。街中がチョコレートと幸せなムードに包まれる中、プレイヤーたちは甘い気分に浸る暇もなく、血眼になって顧客の痛みに寄り添い続けています。ほっと一息つく間もなく、ISAKからやってきたオーガナイザー二人から配られたチョコを急いで頬張っては、再びエネルギー全開でActionへと戻っていく姿が印象的でした。
夕食
チョコレートの差し入れでエネルギーを補給した後は、お待ちかねの夕食の時間です。これまでの時間は、チーム内での濃密な議論や、顧客の元への全力疾走、そしてフィードバックを元にした改善の繰り返し。参加者たちは、同じチームのメンバー以外とはほとんど会話を交わさないほど、自分たちのプロジェクトに没頭していました。

凝り固まった思考を柔軟にするため、この夕食はあえて他のチームのメンバーと席を並べます。初めて言葉を交わす人、初日のアイスブレイク以来に再会した人、あるいは元々の友人など、属性はバラバラです。しかし、同じ「54時間の挑戦」という荒波の中にいる者同士、チームの外側に今の悩みを打ち明けることで、自分たちだけでは気づけなかった新たな視点や解決の糸口が見えてくる。そんな、張り詰めた糸が少し緩むような、貴重な対話のひとときとなりました。

サブ会場
夕食を終え、交流に花を咲かせていると、メイン会場であるSTATION Aiはまもなく閉館の時刻。しかし、「まだまだ夜は長い、もっとActionしたい!」というチャレンジャーたちの情熱は収まりません。そんな熱意に応えるべく、今回はスポンサーの大和グラビヤ株式会社様が運営に携わられているコワーキングスペース「Voltage名古屋」をサブ会場としてお貸しいただきました。

参加者たちは連れ立って電車に揺られ、金山駅前のサブ会場へと大移動。到着するや否や、各チームは示し合わせたようにデスクへと散らばり、ホワイトボードや紙にアイデアを書き殴り始めます。まさに「寸暇を惜しむ」という言葉を体現するかのような光景が広がります。金山駅の目の前という立地を活かし、深夜までヒアリングへと街へ繰り出していくチームの姿もあり、名古屋の夜はさらなる熱を帯びていきました。
Day3 ― 覚悟と挑戦の始まり
最終日の朝、昨夜もほぼ徹夜でアクションを起こしたチームが多々あったにも関わらず、会場オープン前から参加者がStartionAIに集結。声を掛けてはならない空気が漂います。
ファシリテーション

「おはようございます。それでは3日目を始めましょうか」
ファシリテーター中本さんの穏やかな、しかし熱のこもった一言で、勝負の3日目が幕を開けました。
焦点は、15時から始まる最終ピッチに向けた「伝え方」の極意です。何を伝えるべきか、どんな資料なら投資家に響くのか、そして構成はどう組み立てるべきか。これまで数多のスタートアップが試行錯誤を繰り返し、成功と失敗から積み上げてきたピッチの知恵が、惜しみなくプレイヤーたちに共有されました。
昼食
泣いても笑っても、残された時間はあと数時間。54時間の旅を締めくくる最後の昼食は、STATION Aiのすぐそば、鶴舞公園内にある天むすおにぎり専門店からお届けしました。

今回は遠方から駆けつけてくれたチャレンジャーも多くいらっしゃいましたが、この3日間、彼らに観光を楽しむような体力や時間の余裕など微塵も残っていないはずです。せめて食事だけでも名古屋の風情を感じていただこうと、3種類の天むすおにぎりをご用意しました。

頬張るごとに広がる地元の味を活力に変え、いよいよ目前に迫った最終ピッチに向けて、会場のボルテージは最高潮に達します。さあ、集大成を形にするための最後の追い込みです。
最終ピッチ
ついに、54時間の集大成を披露する最終ピッチの時間がやってきました。舞台はSTATION Ai 1階に位置する開放的なイベントスペース。開業以来、数多くの起業家が名古屋からグローバルへと羽ばたく第一歩を刻んできた、まさに「挑戦の聖地」とも呼べるステージです。この週末を戦い抜いたチャレンジャーたちも、その歴史に名を連ねるべく、緊張の面持ちでマイクを握ります。
この3日間の「Action」を厳正に審査していただくのは、以下の3名のジャッジです。
通常、Startup Weekendではチームの解散や分裂が起こることも珍しくありませんが、今回は1日目に誕生したチームが一つも欠けることなく、全チームが最終日まで生き残りました。固い結束で結ばれた7チームが、それぞれのビジョンをぶつけます。
気分はみんな学生
若者のプレゼント選びの悩みを解消する、最適解提案サービス。
ごみ捨てどうにかし隊
AIによる自動分別で、面倒なごみ捨てをスマートにする次世代ごみ箱。
洗ってくれるんです!
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ジビエ de smile
駆除される鹿の毛皮に新たな命を吹き込む、資源利活用プロジェクト。
一番出口
都会の複雑な駅構造を3Dマップで可視化し、迷える人々を救うナビゲーション。
チームオダジマ
海外で遺失物トラブルに遭った際、真っ先に頼れる安心の連絡・サポートサービス。
Road to Admit
海外進学を目指す学生へ、志望校から逆算した最適なボランティア活動を提案する。
最終ピッチ後の質疑応答では、最前線で活躍するジャッジ陣から、3日間のアクションの精度を問う本質的な指摘が次々と浴びせられました。
各チームに対し共通して投げかけられたのは、ヒアリングした母数の少なさや、ターゲット選定の妥当性といった「検証の解像度」に関する問いです。「満足度」や「安心」といった抽象的な価値をいかに持続可能なビジネスとして定義するか、またハードウェアにおいては想定価格の現実味や生産コストの裏付けがあるかなど、厳しいツッコミが続きました。
さらに、一度課題を解決した後のリピート性や、競合他社にはない真の強みがどこにあるのかといった、ビジネスの根幹に関わる議論も展開されました。どのチームも、ジャッジの言葉を真摯に受け止め、この3日間で足を使って稼いできた「生の声」を武器に必死に食らいつきます。この質疑応答こそが、アイデアを本物のビジネスへと昇華させるための、最も濃密な学びの時間となりました。
3名のジャッジの皆さま、ご協力いただきありがとうございました。

表彰式
白熱したピッチと鋭い質疑応答を終え、審査時間を兼ねた休憩を経て、ついに運命の結果発表を迎えました。静まり返った会場に、この週末を駆け抜けたチャレンジャーたちの期待と緊張が入り混じります。
第3位に選ばれたのは、「ごみ捨てどうにかし隊」です。ジャッジからは、ゴミ問題という世界共通の課題に着眼した点を高く評価されました。「アイデアをさらにブラッシュアップすれば、グローバルに通用する可能性がある」という、将来への大きな期待が込められた選出となりました。

続いて第2位は、「チームオダジマ」。海外での遺失物トラブルという、誰もが自分事として捉えられる共感性の高い課題設定が評価の決め手となりました。解決策の具体性にはまだ伸び代があるものの、「ここで立ち止まらず、人々に深く刺さるビジネスへと育ててほしい」というエールが送られました。

そして、栄えある第1位に輝いたのは、「洗ってくれるんです!」。数ある家事の悩みの中から「食器洗浄」に鋭くフォーカスし、検証期間中にしっかりとMVP(実用最小限のプロダクト)の提示とヒアリングを完遂した点が際立っていました。全体の構成と検証のバランスの良さが、優勝を決定づけました。

苦しかった3日間、参加者それぞれ、あるいはチームそれぞれで掲げた目標があったはずです。今回の結果を一つの大きな通過点とし、得られたフィードバックを糧に、参加者の皆さんがさらなる挑戦を続けていくことを願っています。
懇親会
54時間を全力で走り抜けたチャレンジャーたちへのご褒美は、温かい料理が並ぶ懇親会です。会場には美味しい食事が用意されましたが、参加者たちは食事を摂ることさえ忘れるほど、共に戦い抜いた仲間たちとの語らいに没頭していました。

「No Talk, All Action」を合言葉に動いてきた週末でしたが、この時間は一転して、互いの健闘を称え合う「All Talk」の熱気に包まれます。ここで生まれた絆や出会いは、単なるイベントの思い出に留まらず、一生続くかけがえのない縁となるはずです。

そして、次なる挑戦は今、この瞬間からすでに始まっています。Startup Weekendというきっかけを経て、参加者の皆さんがアントレプレナーとして、名古屋の地から再びアイデアをカタチにするために走り出す。その力強い一歩を見届けて、この熱い週末を締めくくりたいと思います。
さいごに
今回の開催にあたり、多大なるご支援をいただきましたスポンサー企業の皆さま、プレイヤーに真剣に向き合ってくださったコーチ・ジャッジの皆さま、共に準備に奔走したオーガナイザーメンバー、そして何より、この週末に飛び込んできてくれたプレイヤーの皆さまに、心より感謝申し上げます。
舞台となった、名古屋に誕生した国内最大級のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」。2年半ぶりの復活を遂げたStartup Weekend 名古屋にとって、これ以上ない再スタートの場所となりました。
この熱量を一過性のものにせず、これからも皆さまと共に名古屋のスタートアップエコシステムを盛り上げていければ幸いです。引き続き、Startup Weekend 名古屋 への温かいご支援をよろしくお願いいたします。
(記: オーガナイザー 中森 立樹)



















































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