【漫画の補足】

今回の漫画は
「価値の形」
が題材です。

3コマ目の李さんのコメント、そして、ミナさんとキツネのやりとりに着目して見てみましょう。

李さんは「お金は価値そのものではなく価値の形の1つでしかない」と言っています。
これはどういうことか?
以下のキツネとミナさんの行動を見て考えてみましょう。

***

ミナさんとキツネがいるのは無人島という設定です。
正確にいうと、漂流してしまったミナさんが流れ着いた孤島に、キツネがいた、ということです。

実は前回の漫画で、ミナさんはキツネから飲み水をゴールド(金)で買おうとしました。
しかし、キツネは飲み水の対価としてゴールドをもらうことはあまり気乗りがしませんでした。
ミナさんは、ゴールドは水の対価として十分である(交換してもらえる)と思っていたのですが、それはミナさんの思い込みだったのです。

今回の漫画では、キツネはミナさんに対してずっと好意的な態度になっています。そして、水を分けてくれるようです。
どうやらそれは、ミナさんから電話をもらったことがキッカケだったようです。
それが、水を分けるに値する価値につながっていたと考えられるのです。

***

流れを整理してみましょう。

ゴールドだけを持って無人島にたどり着いたミナさん。
水が欲しくなり、出会ったキツネに、いきなりゴールドと水の交換を持ちかけたことは失敗だったのです。

ミナさんがすべきことは「キツネが自分に水を分けてくれる行為の価値、それに見合う対価」を考えた上での行動でした。

たとえばもしかしたら、素直に「助けてください、水がほしいのです」とお願いする言葉を伝えるという選択肢もあったかもしれません。
それでキツネが、水を分けてくれたとしたら。
この場合にはゴールドよりも「助けを求める言葉」がキツネにとっては行動を起こす(水を分ける)に値する価値の形だったというわけです。

実際に今回の漫画では、電話によって伝わった何かが、キツネが水を分ける価値になりました。

***

では漫画の事例を現実の起業プロセスに当てはめてみましょう。
漫画にあったゴールドは、現実世界における「お金」だと考えてください。

私達は、ビジネスをすると、というとまっさきに「モノを提供してお金を取ること」という風に考えがちです。
その考えのまま、起業をしよう、ビジネスをしよう、となってしまう。

でも、それは残念ながら正しくありませんし、きっと上手くいかないでしょう。

ではどう考えるべきか?

ビジネスでの取引は
「顧客に価値を提供し、顧客からその対価として、価値を受け取る」
行為なのです。

価値とは、お金とは限りません。
「感動」「情報」「時間」
たとえばこれらも価値なのです。
“Time is Money”という慣用句がありますが、まさにそれは真理です。

スタートアップをする人には、「価値の形」に着目してもらいたいと思っています。
どんな価値が、どんな形を取ることで、顧客との取引が成立しているのか?

特に起業初期においては、この考え方はますます重要になります。

最初の頃の顧客は、本当に少ないものですし、それでよいのです。
ひとり、ふたり、その超少ない顧客の感情がどう動いているかに注目してください。
そして、その顧客に求めるべきものが、本当にお金なのか?をよくよく考えてください。

たとえば、影響力ある人(インフルエンサー)が初期顧客になる場合、彼らからお金を得ることよりも、影響力をもらうことを考えてみてはどうでしょうか。次の顧客を連れてきてくれることは、お金よりもずっと価値があることだと思いませんか?
起業家にとって受け取るべき価値の形も、代金とは限らない、という良い例です。

もちろん、お金という価値を考えることも大切です。特に、事業が成長していくなかではそれは顕著になるでしょう。
しかし、すべての場面で、価値として、「お金だけでビジネスを考える」ことは上手くいきません。

これを今回の漫画では、お伝えしたかったのです。

 

 


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Startup Weekend Tokyo では、エネルギー×テクノロジーをテーマにしたStartup Weekendを、2019年8月23日(金)〜25日(日)にかけて開催予定です。
それに先立って、参加に興味がある方々の役に立ちうるコンテンツをリリースしていっています。
具体的には、「ビジネスの考え方&エネルギー分野にフォーカスしたビジネスの考え方」を知るヒントになる4コマ漫画です。

イベント開催に先駆けてコンテンツを届けていくことは、Startup Weekendとして初めての試みとなります。
漫画を楽しみながら、Startup Weekend、そして8月開催のテーマ・イベントへの関心を高めていただけたら幸いです。


漫画の登場人物は、成松みなさんと李さん。成松みなさんは、社会人5年目で、今回Startup Weekendに初参加を決めている、という設定です。李さんは、Startup Weekendのファシリテーターの設定です。

※ストーリーは架空で、キャラクターはあくまでイメージです。ただキャラクターは、実在の方を参考にはしています。ご本人には確認を取っています。


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