
Startup Weekend 松本 オーガナイザーチームです。
2025年12月12日(金)〜14日(日)、松本市のコワーキングスペース「サザンガク」を舞台に 『Startup Weekend松本 3rd』 を開催しました。
このレポートでは、冬の松本で交わされた議論と検証、そして最終発表までの時間を、当日の流れに沿って振り返ります。
イベント概要
- 日時:2025/12/12(金)18:00 ~ 12/14(日)20:00
- 会場:サザンガク(長野県松本市大手3-3-9 NTT東日本松本大名町ビル)
- イベントページ:https://peatix.com/event/4604883/view
- 参加者人数:18名(全プログラム参加者数。オーガナイザー&観覧は含まず。)
- 参加者属性:最年少18歳/最年長55歳、初参加14名、参加回数最多3回
運営体制(敬称略)
- ファシリテーター:上原 和也(株式会社eiicon Account Executive/Consultant、NPO法人Startup Weekend Japan 認定ファシリテーター、(一社)ベンチャー投資育成研究会 理事、NEDO Technology SSA アソシエイト)
- リードオーガナイザー:阿部 航大(一般財団法人松本ものづくり産業支援センター ICT支援担当係長/サザンガク施設長)
オーガナイザー
- 長南 雅也(フリーランス)
- 安井 奈緒子(個人事業主/プロジェクトマネージャー)
- 南塚 大(一般社団法人パストーン/長野県庁)
- 目黒 健太郎(Nagano Startup Studio/SAKE ART LAB)
- 安永 麻実子(中小企業診断士)
- 池田 紫乃(個人事業主)
- 竹内 寛斗(株式会社松本マツダオート)
- 原 伶磨(株式会社digglue)
- 山岡 正樹(株式会社ユリーカ)
- 藤井 政博
- 宮下 俊春(松本大学 学生)
- 深瀬 斗愛(長野県庁)
- 藤倉 朋矢(キヤノン株式会社)
- 北沢 裕人(合同会社カケル)
コーチ(Coach)
- 佐藤 崇道:有限責任監査法人トーマツ/信州スタートアップステーション/中小企業診断士
- 石坂 弘紀:アイ・エル・シー株式会社/株式会社釧路火力発電所 代表取締役社長、株式会社ALGO ARTIS 取締役会長 ほか
- 安永 麻実子:Mino‘s Business Consulting 代表/中小企業診断士/合同会社実ノ屋 代表社員
- 北沢 裕人:合同会社カケル 代表、中小企業診断士、NEDO-SSA ASSOCIATE、デジタルヘルスケア・医療コンサルタント
ジャッジ(Judge)
- 池森 裕毅:株式会社tsam 代表取締役
- 細谷 洋平:株式会社ステッチ 代表取締役 /デジタルハリウッドSTUDIO松本
- 日吉 有為:株式会社ハタケホットケ 代表取締役
スポンサー(ご支援企業)
本イベントの開催にあたり、以下のスポンサーの皆さまよりご支援をいただいております。心より御礼申し上げます。
- アスクホールディングス株式会社 様
- デジタルハリウッドSTUDIO松本 様
- 株式会社ATOMica 様
- マーベルキャリアコンサルティング合同会社 様
- 株式会社Hajimari 様
- 株式会社ユリーカ 様
- 株式会社松本マツダオート 様
- 株式会社アルプスピアホーム 様
- ソフメイト株式会社 様
- 株式会社アスピア 様
- 株式会社エーアイテック 様
(日本全国・通年スポンサー)
- 弥生株式会社 様
- G’s 様
- 株式会社eiicon 様
イベントレポート
プロローグ:冬の空気の中で、熱が立ち上がる
12月12日金曜日。この日の松本は最高気温4度と冷え込みました。松本に新たな熱狂が生まれたこの週末。キリっとした冬の空気の中で始まりました。
忘年会シーズン真っ只中の「華金」に、繁華街に背を向けてサザンガクに集まったのは「何かを変えたい」「試してみたい」「一歩を踏み出したい」と思う人たちでした。
Startup Weekendは、知識の講義ではなく、行動と検証を積み重ねる実践の場です。
アイデアは未完成でも構いません。大切なのは、「No Talk All Action」。仮説を置いて、確かめて、また作り直すという起業家としての行動様式が求められます。
単なる一過性の「起業体験イベント」ではなく、アントレプレナーシップを持ったプレーヤーと、それを応援する人たちのコミュニティをその土地に生み出すプログラムです。
ちょうど1年前の12月に生まれた「Startup Weekend松本」は、今回が3回目の開催となりました。



Day1:緊張がほぐれて、場が動き出す(12/12)
18:00 オープニング/ピザパーティー
会場には独特の緊張感がありました。初対面の人たち、これから始まる3日間への期待と不安。その空気をやわらかく溶かしたのが、恒例のピザパーティーでした。食事を囲むうちに会話が生まれ、遅れて到着した参加者が合流する頃には、会場の温度が一段上がったのを感じます。


19:00 ファシリテーション開始
ファシリテーターは松本1st以来の登壇となる上原和也さん。軽快な進行と、要所で背中を押す言葉が、場の集中をつくっていきました。また、この場を支えるスポンサーの皆さまにもご来場いただき、参加者へ熱いメッセージが届けられました。



19:30 アイスブレイク「Half Baked」
アイスブレイクは「Half Baked」。割り当てられた二つの「キーワード」を組み合わせて、即興でビジネスアイデアをピッチします。
急遽、お手本を任された若きオーガナイザーの二人が、「AI×筋肉」というお題で見事やり遂げてくれました。

参加者の皆さんも「熊×歴史」、「集客×AI」など、難しいお題にチャレンジしていました。


20:00 エレベーターピッチ
エレベーターピッチとは、起業家が投資家や協力者に偶然出会った短時間(エレベーターに乗っている程度)で、自分の事業の価値を簡潔に伝えて興味を持ってもらうための短い説明のことです。
スタートアップウィークエンドでは、自身の考えたテーマを発表して仲間を集めるため、エレベーターピッチを行います。

身近な違和感、個人の困りごと、地域で見えている課題。参加者の数だけ、テーマがあります。はじめは自分の発表まで緊張した様子の参加者も、次第にピッチに引き込まれ、拍手の質が変わり、会場の集中が増していきます。人前で自分のアイデアを言葉にするだけでも、すでにアントレプレナーの第一歩です。




21:00 投票・チーム編成
どれだけ熱いアイデアでも、仲間が集まらなければ動き出せません。そこは残酷で、ある意味「リアル」でもあります。
投票後、最低3人を集められたらチーム成立です。「うちのチーム、どうですか?」「詳しく聞かせて」と、チームメンバーをめぐる交渉が会場中で同時多発します。時にはオーガナイザーやスポンサーに対してまでも「一緒に入ってほしい」と声をかける姿も見られました。
紆余曲折の末、今回は5チームが成立しました。





22:00 Day1 クローズ
チームが決まると、夜は最初の作戦会議へ。この時点では誰も正解を知りません。けれど、その不確かさこそが入口です。「ルールがないことがルール」。ここから先の時間の使い方が、すべてを決めていきます。

Day2:思考が壊れ、立ち止まって、進み直す(12/13)
9:30 Day2 スタート
2日目は、午後のコーチタイムまでにアイデアをまとめるべく、朝から一斉にエンジンがかかります。
チームが取り組むテーマは、「誰の課題なのか」「その痛みは本物なのか」「代替手段より良い方法なのか」「お金を払う人は誰なのか」。



まとめたアイデアを持って街に出て声を聞き、戻って整理し、また出て確かめる。仮説検証の繰り返しです。
一つ一つ決断して前へ進むことが求められます。


14:00 コーチング
午後のコーチングは容赦がありません。
「それ、本当に課題?」「前提が違うのでは?」。
厳しくも愛のある言葉に、これまで積み重ねたものを根本からひっくり返され、チームが一度フリーズする瞬間もありました。





「課題ではなくソリューションが先行していないか」
「ターゲットは明確か」
「自分が本当にやりたかったことは何か」
「ここに何をしに来たのか?」

白紙に戻ったアイデアを前に立ち尽くす参加者たちに、ファシリテーター上原さんの言葉が響きます。
19:00 夕食〜夜の作業


束の間のリラックス、夕食を挟んで夜は再設計の時間。
機能を削る、ターゲットを切る、伝える順番を変える、明日の動きを確認する。華やかではないけれど、最も起業家らしい時間が続きます。
「No Talk, All Action」「This Place is Safe」——繰り返される言葉が、背中を押し続けました。


派手な演出も、拍手喝采もない。ただ、未来を信じて手を動かし続ける。その地味で、それでいてあまりに美しい光景が広がっていました。
この土曜日の夜、松本で、一番輝いている人たちが、サザンガクにはいました。
Day3:締切が、人を本気にさせる(12/14)
9:30 Day3 スタート
最終日は「つくる」から「伝える」へ。検証で得た事実を整理し、発表に必要な情報だけを選び、聞き手に届く構成に落とし込みます。
「本当にこれでいいのか?」
その問いに対し、チームで何度も答えを擦り合わせます。



資料は少しずつ形になる。
でも、頭から離れないのは
「これって本当にニーズあるの?」という疑問。

綺麗な資料を作っても意味はない。
「オールアクションできてる?」
そう言われたら、もう一度ヒアリングに行くしかありません。
歩き回り、時には無視されながらも、ひたすら声を集め、最終調整します。
最後は全員で読み合わせをし、気がつけば集合時間の14:50。
毎回こうなるのが、スタートアップウィークエンドです。
15:00 最終発表


ファシリテーターの煽り、ジャッジの登場もあり、会場の雰囲気は最高潮に。しかし、発表者たちはどこか張り詰めた空気が漂います。
決められた順番に沿って、最終ピッチは淡々と進んでいきます。






発表が終わるたび、ねぎらいの拍手と「そうきたか!」というざわつき、「この短期間でよくぞここまでのクオリティのものを」、という驚きの声があがります。
発表を終えたチームメンバー同士でのハイタッチや「やりきった」という安堵の表情がとても印象的です。


17:30 結果発表・表彰
審査の後、ドキドキの結果発表へ…。
結果は以下のとおりでした。
3位:チーム鬼の研修「くぐりもん」

粗削りではあるものの、自分の課題に対して良く向き合っていた。採用でのミスマッチをなくす、という着眼点は本当に深刻な課題だと思っており、ぜひ取組みを続けていただきたい。
ジャッジ 細谷さん
2位:チーム文系 「Switch」

大学生らしい視点での課題設定が解像度が高く、よかった。質疑応答も頑張って真摯に答えていて、印象的だった。
ジャッジ 池森さん
1位:営業メガネと筋肉「紙降知(かみこうち)」

ジャッジ一同、全会一致で圧倒的な一位だった。完成度がとても高く、大所帯のチームで上手く役割分担をされたんだろうな、という印象。きちんと論理立てて考えられており、実現性も高い。明日からでも取り組み始めることができそう。これをきっかけに事業として進めていただければ、松本はお土産が不足しているという課題も耳にしますので、解決につながるのではないかと思いました。
ジャッジ 日吉さん

優勝チームリーダーのコメントでは、感極まり言葉に詰まる一幕も。
熱く、長いようで短い3日間はフィナーレを迎えます。
結果として賞に届かなかったチームもありました。しかし、「やりきった!」という充実感が会場を包んでいました。

最後に共有されたのは、「この週末で“完結”にしない」というメッセージ。
起業だけが正解ではなく、学びの使い道はそれぞれ違う。
それでも、ここで得た行動の型と仲間は、次の挑戦を必ず近づけます。
フィナーレ
最後はお待ちかね、After Party!
今回、美味しいフードをプロデュースいただいたのは、「立ち飲みホームラン」さんです。


乾杯を皮切りに、いくつも笑顔の輪が広がります。

地域でやる意味
今回はDay1、Day3に多くのスポンサーの皆さまにもご来場いただき、改めてこのイベントが地域の多くの方々に支えられていることを実感しました。
あるスポンサー企業の方にいただいた「(参加していた)社員のあんな姿は、会社では見たことがない」というコメントは、オーガナイザーにとって本当に嬉しいお言葉でした。

信州松本という土地でやるからこそ、人の顔が見え、言葉が残り、関係が続いていく。この“続く関係”こそ、地域で開催するStartup Weekendの価値の一つです。
参加者の声
「なんだか起業をしてみたいと考えたことはありました。しかしビジネスにおいての過程など考えたことはなく「してみたい」でとどまり全く実行になど移せてはいませんでした。今回の参加により自分には不可能だと感じていたものが、やればできると言う確信に変わりました。何よりチームメンバーとの協力。それぞれの個性、特技を活かしてやることにより1つのビジネスを実現可能な状態まで3日で持って行けたことがすごく楽しかったです。今まで考えてもいなかった自分の新たな人生、視野がものすごく広がりました。この3日間で私の人生が変わるきっかけになったことに感謝しています。」
[20代男性・会社員]
「これまで、主体的に考え判断・行動をして来た自負があったが、それはあくまでも限られた条件・制約の中での判断・行動であって、まだまだ出来ていない部分、実力不足の部分が多くあるなと顧みる機会となりました。越境の意味と重要性を学ぶことができました。」
[30代男性・会社員]
「ビジネスの新規企画からカタチにするまでを学ぶことができました。素敵な人たちと出会い、チームで取り組むことの難しさを感じると共に、そこで得られるものの大きさを実感できました。自分の思考・行動・コミュニケーション・性格について自己理解が深まり、もっと自分に自信を持とうと思いました。」
[20代女性・会社員]
「就職先が決まり、人生のルートがある程度固まった今、自分が本当にやりたいことができているのか/今後できるのか漠然とした不安を感じていたため参加しました。いっしょに事業を作り上げていきたいと思える仲間と出会えました。自分の強みと弱さを知ることができ、起業という手段が自分の中にもあることに気づけました。」
[20代男性・学生]
おわりに
3日間で生まれたのは、完成品ではなく「想いを実現するための道筋」でした。アイデアのアウトプット、仮説検証の繰り返し、チームでの意思決定、短時間で作り上げるスピード。そして、壊れても作り直す経験。参加それぞれ、それを活かすステージは異なりますが、考え方や行動様式にしっかりと刻み込まれたはずです。

ご参加くださった皆さま、お忙しいなか時間を割いてくださったコーチ・ジャッジの皆さま、支えて下さったスポンサーの皆さまに、改めて感謝申しあげます。
エピローグ
年が明けて、1月18日。一カ月後、会場のサザンガクに再び集まったのは、これまでのStartup Weekend 松本1st~3rdの参加者、約30名です。
この日、SW松本3rdのアフターイベントとして「Connecting the dots 「あれから」のインサイドストーリーと「これから」の相談会」が開催されました。

インスピレーショントークとして、「あれから」のインサイドストーリーをSW松本3rd優勝チームリーダーのマッキーさんにお話しいただきました。

後半では、過去回の参加者ごちゃ混ぜでの「これから」の相談会。「久しぶり!」も「初めまして!」もありましたが、共通点はStartup Weekendの3日間を経験していること。不思議と話は弾みます。

自分のやりたいことに対して、何に行き詰まってしまっているのか。思い描く未来像はなんなのか。
決意を新たに、またそれぞれの「これから」に向き合います。

Startup Weekend松本は、この地に「やりたいことをカタチにできる人」を増やし、カルチャーをつくる取組みです。次回、Startup Weekend松本4thに、どうぞご期待ください!






Comments are closed.