2025年9月、シルバーウィークで全国から観光客が訪れ賑わう小樽。海と運河の街として知られるこの地で、表舞台のにぎわいとは別に、新しい挑戦や起業の芽が熱く育まれていました。集まった同志たちが互いに刺激し合い、熱量あふれる3日間の様子をお届けします!

イベント概要

  • 日時:2025/9/19(金)・20(土)・21(日)
  • 場所:北海道小樽市
  • 会場:小樽商科大学
  • イベントページ:https://swotaru202509.peatix.com/view
  • 参加者人数:36名
  • ファシリテーター:岩城 良和
  • コーチ:福島 慶介・加藤 拓・大砂 百恵・三﨑 一彦・猪口 純路
  • ジャッジ:藤見 佳奈枝・西條公敏・中村 友
  • リードオーガナイザー:右田 幹
  • オーガナイザー:宮谷内 勘太・村上礼音・頼経 篤史・石田 奨太・穴田 ゆか・武田祐貴
    (以上、敬称略)

スポンサー(敬称略・順不同)

株式会社パッションフライヤーズ 様、合同会社PoRtaru 様、STARTUP HOKKAIDO 様、株式会社インフィニットループ 様、PonoWolves 株式会社

《日本全国・通年スポンサー》

弥生株式会社 様、G’s 様、株式会社eiicon 様

Day1

会場は小樽商科大学。小樽駅から「地獄坂」と呼ばれる急な坂を上りきった先にあり、その道のりはまるで起業への第一関門を象徴しているかのようでした。 そんな坂を越えて、多くの方が集いました。小樽商科大学の学生をはじめ、地元の社会人、さらに市外・道外からも参加者が駆けつけてくれました。十勝や札幌の高校生、滋賀の教授、東京・京都・岡山の大学生まで、世代も地域もさまざまな人々が一堂に会したのです。

この3日間は、起業を学ぶ場であると同時に、交流の場でもありました。市外・道外から訪れた方々には小樽の魅力を少しでも感じてもらいたい。そして市内の方々には、遠くから集まった挑戦者たちの熱に触れることで、新たな刺激を得てほしい。そんな出会いや学びを、この3日間で形にし、小樽の街の活性化につなげられれば――そんな想いを当時は抱いていました。

さて、会場に参加者が徐々に集まり、Startup Weekend恒例の「ピザパーティー」から3日間が幕を開けました。

今回いただいたのは、小樽に店舗を構える すぱいすちーずちーず さんのピザ。種類豊富で、もちもちとした生地に一口かぶりつけば、自然と笑みがこぼれます。そんな美味しさも後押ししてか、会場では早くも活発な交流があちこちで生まれていました。――この雰囲気なら、最高の3日間になることは間違いありません。

さて、美味しいピザでお腹を満たしたあとは、いよいよ3日間のアイデアをカタチにする準備が整い、ファシリテーションが始まりました。

今回のファシリテーターは、つくばからお越しいただいた岩城さん。札幌や釧路のSWにも参加いただいており、北海道のアイデアをカタチにするコミュニティを長く支えてくださっています。小樽の地でどんな3日間を導いてくださるのか、期待が高まります。

オープニングではまず、協賛の皆さまからのご挨拶がありました。

Startup Weekendは、地元に根ざし、共感してくださる方々の協賛によって成り立っています。そのご支援があったからこそ、小樽での開催が実現しました。この場を借りて、改めて心から感謝申し上げます。

最初のプログラムは、ハーフベイクドからスタート。ハーフベイクドとは、まったく関係のない2つの言葉を組み合わせてビジネスアイデアを考え、1分間でピッチするというものです。わずか15分間でサービスの内容からタイトル、ロゴまで形にしなければならず、思考の柔軟性と、そして何よりチームワークが試されます。

掛け合わせる2つの言葉はホワイトボードに貼られたテーマから早い者勝ちで選ぶ仕組み。今回の参加者は学生が多かったこともあり、その取り合いは熾烈を極めました。若さゆえのエネルギーがほとばしり、会場全体の熱量が一気に高まります。

その後のピッチでは、どのチームもユニークで完成度の高いアイデアを披露。中には「これだけで3日間取り組めそう」と思わせるものもあり、小樽からどんな新しい挑戦が生まれるのか、ますます楽しみな気持ちが膨らみました。

1日目のメインイベントは、3日間を共に走り抜ける仲間を見つけるための「1分ピッチ」。自分のアイデアを事業化するためには、最低3人以上のチームを組む必要があり、つまりピッチをした人は2人以上の仲間を集めなければなりません。全員が自分のアイデアで挑戦できるわけではない――この厳しい条件こそが、SWの醍醐味の1つです。

そんな中、今回はなんと20名ほどの方がピッチに挑戦。小樽にちなんだ企画、学生ならではの悩み、そして「こんなものが欲しい!」という素直な願いまで、どのアイデアもユニークで聞いていてワクワクするものばかりでした。

会場の参加者には3枚のシールが配られ、共感したアイデアや面白いと思ったアイデアに貼って投票します。複数枚を同じアイデアに貼っても良し、自分のアイデアに貼っても良し。結果としてはシールが満遍なく分散し、5枚集めても残らないアイデアが出るほどの激戦となりました。

最終的に勝ち残ったのは7つのアイデア。ここからチームビルディングが始まります。

即決で仲間に加わる人もいれば、どのチームに入るか悩み抜く人も。選ばれたピッチャーたちは声をかけ、交渉し、時には協賛の挨拶で駆けつけた方までも仲間に引き入れる姿がありました。その一部始終に、会場は大いに盛り上がりました。

こうしてチームが出揃い、1日目は幕を閉じます。果たして2日目以降、どんなドラマが待っているのでしょうか。期待は高まるばかりです。

……と思いきや、多くの人にとって1日目はまだ終わりません!

大きな理由は、今回の会場である小樽商科大学の合宿所「逍遥荘」さんをお借りできたこと。

参加者の半数以上がここに宿泊し、週末の夜を共に過ごしました。そのため、早くも1日目の夜からチームで集まり、2日目以降の作戦を練る姿があちこちで見られました。

一方で、作戦会議と交流を兼ねて街へと繰り出す参加者も。協賛いただいた合同会社PoRtaruさんが運営するゲストハウス&バー「Tug-b」に足を運ぶチームもありました。

協賛先に実際に参加者が訪れる――運営する私にとっても、とても嬉しい瞬間でした。こうした交流が広がることで、イベントのつながりが地域に根づいていくのだと実感します。今後の開催でも、このような関係性を大切にしながら、さらにつながりの幅を広げていけたらと感じました。

Day2

昨日登ってきた「地獄坂」の上から始まる2日目――このSW期間以外で、こんな高揚感を味わえる日が果たしてあるだろうか。そんな思いを抱きつつ、いよいよ2日目がスタートしました。

岩城さんのファシリテーションで空気が温まり、各チームはそれぞれアクションへ。会場で議論を深めるチーム、アンケートフォームを作成するチーム、そして外に飛び出してヒアリングを始めるチームも現れました。

シルバーウィークで賑わう小樽・堺町通り商店街へ向かったチームには、執筆している私も同行。最初はインタビューに慣れず戸惑っていた様子も、次第に声をかける姿勢が板につき、多くの方から話を聞くことができました。ナイスアクションでした。

他には、「小樽のお寿司屋さんに詳しいのはタクシードライバー説」を掲げて飛び出したチーム。ところが案内された先は、まさかの全国チェーン「はま寿司」。思わず目を丸くして驚きましたが、聞くところによると北海道のチェーン店はネタの鮮度や味わいが他地域と違うのだとか。真相はさておき、このアプローチもまたナイスアクションでした!

お昼はボリューム満点のザンギとご飯!

今回ご提供いただいたのは、協賛いただいたパッションフライヤーズさんが経営されてるタケダのザンギさんからのザンギです。初日のご挨拶では「ザンギは油で揚げていない、心で揚げている!」という素敵な言葉を残してくださり、その瞬間から「早く食べたい!」と楽しみにしていた方も多かったのではないでしょうか

一口ほおばれば、その言葉通り真心がじんわりと伝わってきます。お腹も心も満たされ、午後の活動へ向けて一層エネルギーが湧いてきました。改めて、美味しいザンギと温かいご支援ありがとうございました!

そして午後はいよいよ2日目の大イベント、コーチングセッションです。起業家や起業支援者、投資家といった専門家に各チームの事業アイデアを聞いていただき、「アドバイス」ではなく「疑問」という形で問いかけてもらう時間。問いを受けてチーム内で考え、気づきを得る――そんな学びのサイクルが生まれます。

今回は、小樽でご活躍されている方や、現役の小樽商科大学生にしてすでに起業している方など、小樽にゆかりのある方をお招きしました。(加えて、ファシリテーターの岩城さんまで!!)どのアイデアもユニークで、コーチの方々も興味深そうに耳を傾けてくださり、中には「次回はフルで参加してみたい!」と声をかけてくださる方も。運営としても胸が熱くなる瞬間でした。

とはいえ、さすが経験豊富なコーチ陣。鋭い問いが次々と飛び出します。
「競合はどこにいる?」
「差別化のポイントは?」
「広がりすぎている要素を、どこかでシンプルにできないか?」
そして最後に、多くのコーチが残してくださった言葉があります。――「やっちゃえばいいじゃん」。
シンプルでありながら、挑戦する人の背中を強く押してくれる言葉です。

この3日間だけにとどまらず、その先も突き進める仲間が増えていく。そんなコミュニティを育んでいけるように、運営としても身の引き締まる想いです。

一方で、今回はコーチングをあえて受けなかったチームも2つ。

ひとつは寿司をテーマにしたチーム。方向性が変わりそうとのことで、その議論に時間を充てていました。もうひとつは「外国人と仲良くなりたい」をテーマにしたチーム。なんと札幌で開かれる多国籍な人が集うミートアップに参加するという行動力を発揮していました。コーチングを受けるもよし、戦略的に別のアクションをとるもよし。それぞれの判断で動く姿に、参加者の主体性と熱量を強く感じました。

コーチングが終わり、最終ピッチまで残り24時間を切りました。限られた時間の中で何を優先すべきか――相談すべきことは山ほどありますが、考えれば考えるほど頭も疲れてしまうもの

そんな皆さんを支えるために用意されたのが、北海道といえば!小樽といえば!海鮮丼!

しかもこちらは、お昼のザンギに続いてご提供いただいた、パッションフライヤーズさんが経営されてるあか・あお・きいろの協賛による「サービス」として振る舞っていただきました。豊富なネタがずらりと並び、目の前にした瞬間の興奮は今でも忘れられません。

新鮮な海の幸を頬張りながら、心もお腹も満たされ、参加者たちは再びエネルギー全開。まだまだ続く2日目の夜に向けて、会場の熱量はさらに加速していきました。

この日の夜は悪天候の予報もあり、夕食を終えるとほとんどのチームが合宿所へ移動しました。しかしそこは休む場所ではなく、再びアクションの場に。議論を重ねる声、キーボードを叩く音が夜遅くまで響き渡り、合宿所全体が熱気に包まれていました。宿舎がそのままもうひとつの会場になってしまうほど、熱量が途切れないのは本当に印象的でした。

果たして3日目の最終ピッチでは、どんな成果が繰り広げられるのか。そして――2日目にアクションを続けるチームの皆さんに、3日目は訪れるのか。期待と少しの不安を抱えつつ、夜は更けていきました。

Day3

深夜の嵐が過ぎ去り、3日目の朝にはかすかに青空も見れました。いよいよ最終日――各チームは引き続きアクションに取り組みます。2日目で方向性を固めたチームが多かったのか、表情には自信と前向きさがにじみ、活気にあふれている印象でした。

中にはホームセンターへ足を運び、会場でものづくりに励むチームの姿も。「一体どんなものを完成させるのだろう?」と期待が高まります。

また、小樽商科大学から車で10分ほどのウィングベイ小樽に出向き、顧客ヒアリングを行うチームもありました。

私自身も同行させていただきましたが、最初は緊張していた参加者も徐々に慣れ、積極的に声をかけ、多くの方から話を伺っていました。その成長ぶりは、まさにStartup Weekendならではのチャレンジの証。配られたシールの数からも、多くの人に声をかけられたことが伝わってきます。

お昼は、Petit Barilさんからおにぎりとお惣菜がついたお弁当をご用意いただきました。実は私自身も一度いただいたことがあり、とても美味しく、ピッチ前の慌ただしい時間に食べる内容としてもぴったりだと思い、今回お願いさせていただきました。

こうして振り返ると、食事ひとつをとってもご縁によって支えられていることを実感します。関わってくださった皆さま、本当にありがとうございました!

時間が経つのは本当にあっという間。いよいよクライマックス――5分ピッチの時間がやってきました。今回の審査には、3名の多彩な起業家・起業支援家の方々にご協力いただきました。

結成された7チームは、最後まで走り続け、全てが無事にピッチへと到達!どのチームも強い想いをしっかりと届けていたのが印象的でした。その熱量の大きさゆえに、ジャッジの皆さんからも愛のムチが次々と飛びます。
「ターゲットになる人をどうやって集める?」
「そのヒアリング対象、本当に合ってる?」
「あなたたちにしかできない部分はどこにある?」

どのコメントも本質を突いており、会場に緊張と学びが走ります。正直、どのチームにも1位をあげたいほどの出来栄え。しかし順位を決めると宣言した以上、最終的に順位をつけなければなりません――。

果たして栄冠を手にするのはどのチームなのか――。
激闘の末、栄冠を勝ち取ったのは、こちらのチームです!

3位 そらため

保安検査通過後の制限エリアに、子ども向け空港ゲームセンターを提案。子どもが楽しめる場所がない課題を解決するためのプランをピッチしました。

2位 MY BOOK

あなた自身の人生の「物語」を書き出し、伝えたい「今」と、知りたい「いつか」をつなぎ直すというプロダクトのコンセプトをピッチしました。

1位 はなかみ

鼻をかむことの恥ずかしさや不便さを解消するため、スタイリッシュで持ち運びやすい鼻水吸引機をピッチしました。若い女性に聞いたところ「欲しい」との声もあり、ニーズが確認ができました。

惜しくも届かなかったチームも この場で得た経験が次の挑戦を生み出すことを、運営として何より楽しみにしています。何より、お忙しい中ジャッジを頂いた皆さまありがとうございました!

また、今回のSW小樽には、札幌・釧路・旭川でオーガナイザーとして活躍されている方々もお越しくださいました。近年、北海道各地でSWコミュニティが一気に広がっており、その熱を「言葉」だけでなく「体感」として味わっていただけたのではないかと思います。

なんと、小樽の開催が終わった時点で、今年はまだ道内で4回ものSW開催が予定されているとのこと!アクションするチャンスが各地に広がっているのは、本当にワクワクします。

さらに今回特別に、旭川からお越しいただいた 鈴木さん が、各チームのピッチをグラフィックレコーディングとしてまとめてくださいました。

カラフルで温かみのあるイラストは、3日間の軌跡を鮮やかに残してくれるものとなり、参加者にとっても忘れられない思い出になったはずです。本当にありがとうございます!

最後を締めくくったのは、リードオーガナイザーのみぎーさんからの挨拶でした。

みぎーさんがStartup Weekendに初めて参加したのは、2021年のSW苫小牧。その出会いをきっかけに全国、さらには海外のSWにも参加し、多くの仲間や学びを得てきました。

その中で芽生えたのが、「北海道にもっとSWコミュニティを広げたい」「いつか小樽で開催したい」という想い。数え切れないほどのご縁が重なり合い、その願いはついに今回の開催という形で実現しました。

最後は、合同会社PoRtaruさんのご協賛で、美味しいご飯をご提供いただきました。優勝チーム「はなかみ」のリーダー兼オーガナイザー・村上さんの力強い乾杯の一声とともに、懇親会がスタートしました。

食事を囲みながら3日間を振り返り、チームを越えて労いと語り合う時間に。中には、懇親会の最中にピッチを振り返ったり、ジャッジの方から直接フィードバックを受けたり、今後の動き方を真剣に話し合う姿も見られました。

イベントを終えてもなお次へと進もうとする参加者の姿に、大きな喜びを感じました。まさにオーガナイザー冥利に尽きる瞬間です。

懇親会の熱気は時間内に収まりきらず、多くの人が二次会会場へと移動し、語り合いの輪がさらに広がっていきました。さらに、「楽しかった」「くやしかった」その一言では収まらず、すぐに行動に移し、函館へのエントリーを済ませる参加者まで。

Startup Weekendの魅力は「起業を体験できること」だけではなく、その場で出会う熱量高い仲間とのご縁こそが、最大の価値だと思っています。一緒に事業を始める人もいれば、新しい施策を共に取り組む仲間になる人もいる。時にはかけがえのない友人関係が生まれ、人生を変える出会いにつながることもあります。

素敵な例を挙げると、今回オーガナイザー兼参加者として挑戦した高校生のゆうきくん。出会いから得た気づきを語る姿に心を動かされました。人とのつながりの素晴らしさを感じられるので、ぜひ彼のnoteもご覧ください。

最後に改めて、SW小樽にお越しくださった参加者の皆さま、ファシリテーター、コーチ・ジャッジ、スポンサーの皆さま、そして開催実現までに関わってくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

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